『職業、ブックライター。毎月1冊10万字書く私の方法。上阪徹』を読んで。
上阪氏はインタビュー集によるベストセラーにもなった『プロ論。』の著者である。最近では、『リブセンス<生きる意味>25歳の最年少上場社長』という本が僕の記憶には新しい本ではある。そのどちらも読んでいたので、今回の本はとても楽しく読めた(読み始めてから、彼がこれら2冊などを書いていた事を、改めて知ったのだが。。。笑)
自分は、第一次産業から三次産業までと色々な人に話を伺う機会が多い。副題にもあるように、理系で入ったものの現在では文系的な調査をしている事が多い。主に経営に関するマネジメントなどである。そうした時に、実際に現場で働いている方の話を聞くという事は自分の主張を裏付ける為には必要な行為であったりする(最も、ひとり、ふたりに聞き出した所で統計的に有意差を生み出す事がなかなかできないので、せまいコミュニティーの中での取材、小さい所にフォーカスを当てた聞き取り調査が多い)
この本にはブックライターである上阪氏の本を作り上げる為の、メソッドが多くちりばめられていた。
ブックライターという仕事は主に、著者となる人から素材を引き出す為のインタビューを数回行い、それを基に、著者の代わりに本を書き上げるという仕事だ(おそらくゴーストラーターという名前がしっくりくる人が多いかもしれないが、上阪氏はその言葉をあまり好んでおらず、堂々とブックライターとして活動をしている。この部分は筆者のアイデンティティとして大事な所だと思うので本を参照にしてほしい。)
さて、先日僕は後輩の調査に同行して、とある法人のトップの方の話を聞いてきた。あくまでもその調査は後輩の調査だったので僕はあまり口を出さなかったのだが、、、
その取材は3時間にも及んだ。この本を読めば、2時間の取材を5回行うように、取材は多くの時間をも要する。しかしながら、あの時の調査は酷かった。話が脱線しまくり、1時間で終わるような話が3時間にも及んだのだ。
イライラしすぎて、途中にはiPadを触っていたので、話を覚えていない。彼に聞いた話によると宗教的な話もしていたらしいのだ。思想を知るというのは大事かもしれないが、短い時間で終えてほしかっただけに、話をなかなか修正する事ができず、時間だけが過ぎていった。そして彼の使う内容はほんの少しだった。。。笑
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上阪氏の今回の本に
実際の取材では、ブックライターは、ひとつ気をつけなければいけないことがあります。(中略)。著者がしゃべるがままに任せていたら、時間内に予定の半分の質問も終わらなかった、ということも起こりうる。(略)著者によっては口数が多くない人もいる。会話のキャッチボールによって、内容を膨らませていくことが重要になります。黙っていれば、良い素材が手に入る、ということはまったくないのです
とある。
このようにタイムマネジメントの重要性と取材コンテを作る重要性を著者自身の経験から説いている。これは、とても勉強になる事が多く書かれていた。
また信頼形成の話についてもそうだ。インタビューされる側との信頼を構築できなければ、いい話(素材)を引き出せない点も言及している。この話は、どのインタビュアーにも求められる事であろう。同じインタビュアーである吉田豪さんの姿を情熱大陸で見た時も同じような事を感じた。
また、身だしなみについてもそうだ。吉田豪さんとは対照的に(笑)、筆者はスーツ姿でインタビューに臨むという。これも信頼形成で必要な事の一つであると言っている。
さて、このようにして得た素材達をどのようにして本として生み出すのかを、目次作りを中心にして解説している。僕も、本を読む時にはじっくりと目次を読むようにしている。筆者が書きたい事が大まかにそしてシンプルにそこに力が注入されているからだ(と思っている)。
まさに、上阪氏も目次作りへのこだわりを、実際に作った本を例にして解説をしてくれている。ありがたやm(__)m
あとは筆者個人のタイムマネジメントなどが書かれているので、それはブックライターである彼のものなので、真似できる所があればそこから盗めば良いだろう。
最後に、ブックライターに向いている人はどういった人なのか、これは本の最初にも書いてあったが、書く事に長けている人が必ずしもなれるということではなないようだ。どちらかというと、書く事が下手でも、分かりやすい文書をその人なりに書く事ができて、たくさんある情報を取り出し、そこから取捨選択できる管理能力ができる人が向いている職業と紹介している。
ただ、さすがブックライターのプロ。1年に12冊もの本を出せるというのは、ブックライターとしての名声もなければならないし、技術も無ければできないだろう。
書いて世の中に出すってなんて素晴らしいんだろう。。。
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Amazonの評価の中には、なかなか厳しいものもあるみたいですね。。。笑
ただ、「なぜ毎月10万字を15年も書いて、こんなに文章が下手で、自慢できるか不思議」という批判的な言葉も、全ては
「書く事が下手でも、分かりやすい文書をその人なりに書く事ができて、たくさんある情報を取り出し、そこから取捨選択できる管理能力ができる人が向いている職業」
に収束するのではなかろうか。もしかしたらこれは筆者による素敵な予防線だったりするのかもしれないが。それでも僕自身は、彼の書いた本はどれも読みやすいと感じている。村上春樹のような描写の仕方なんてしなくていい。文章がうまい、下手の判断はその人次第なのだと思う。僕は村上春樹の書く文章は読めないのだから。笑
では