ゴルフ市場の凋落
東洋経済オンラインの記事で以下のものを見ました。
ゴルフはなぜここまで凋落してしまったのか | ゴルフとおカネの切っても切れない関係 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
僕もゴルフプレイヤーとして、興味深く読みました。そして、その記事の基となるのが、以下の日本プロゴルフ協会のHPに載っています。
公益社団法人 日本プロゴルフ協会
要は、「ゴルフ市場再活性化に向けた新たな提案」を作りましたので、今後もっと幅広い層を獲得していくぞ!という内容です。まだその内容は明らかになっていません。提案書を早く公開して欲しいですが、その資料を探してみたところ、10年前にも同じような提案書を作っていたのですw
ゴルフ市場行動活性化計画検討会報告書〜始めよう、続けようもっとゴルフを〜
10年前の提案書
これは平成15年10月にまとめられたもので、「ゴルフ市場行動活性化計画に関する検討会」によって作られた報告書です。参加している委員を見ると、今回の提案書と同じ協会のグループが作ってます。つまり、同じ協会の集まりが10年以上のときを超えて、報告書を作っているので、今回はどのように刷新しているのか楽しみですw
では、その新しい報告書が公開される前に、10年前の報告書を見てみましょう。もちろん、この報告書の反省点なども今回の報告書にも載っているでしょうから、おさらいをしておきましょうw
これは10年以上前に作成されたものですので、中長期計画の成果が出始めてる頃ですが、、、内容がもう見てられませんwww
10年前の提案書は、
- 現状の課題
- 課題への解決策
- 具体案
という3つの章からなっています。
現状の課題を要約すると
- 市場は縮小している
- 市場は高齢化している
- 将来をシミュレーションしてみると、右肩下がり
- 4つの対策を行えば、市場は右肩上がり
- 協会や連盟が存在するが、業界の司令塔が存在しないので、作りましょう
4つの対策とは
- ジュニア層を1.5倍増
- シニアリタイア率を30%に留める
- 女性層を1.5倍増
- 2030年までに13.5回/1年の活動率に
プレイヤー層をなるだけ底上げして、さらにプレイヤーが活発にラウンドしてくれれば、市場は右肩上がりになる!と言っています。
では、この課題を具体的にどう解決していくのでしょうか?時間軸とユーザーを分けて対策していくようです。
- 短期〜長期計画
- ユーザー層を分けて対策
ユーザー層は以下のように分けてあります。
- シニア層
- ミドル層
- 女性層
- ジュニア層
- 無関心層
それぞれに対策すべきは、ゴルフ離れの阻止、熱中化、新規開拓の3つとしています。そして、ゴルフ離れの阻止は短期的目標。ゴルフへの熱中化は中期的目標。そして新規開拓は長期的な目標としています。さて、その具体的な内容を見てみましょう。
シニア層の食い止め
シニア層を食い止めるには、「安い、近い、短時間、楽」なゴルフを目標とし、「夫婦ともに楽しめる」ものが望ましいとしています。
ミドル層への訴求
30代、40代の層を取り込むためには、家族で楽しめるものであり、サイフの紐を握っている女性層への参加が必要だと述べています。
ジュニア層の開拓
10代の親が行ったことのあるスポーツNo.1はゴルフにも関わらず、10代のプレー経験数は他のスポーツと比べると最低です。低料金化を進めたり、学校教育へゴルフを取り入れるなどしてジュニア層を獲得していきたいと述べています。
具体案
これらの具体的な対策として、色々と挙げてるみたいです。。。
10年前の提案書の反省
以下がゴルフ市場に関係のある指標です。
ゴルフ人口 | 1274万人(1992年) | 1243万人(2001年) | 840万人(2012年) |
---|---|---|---|
ゴルフ場市場 | 1兆9610億円(1992年) | 1兆4000億円(2001年) | 9010億円(2013年) |
ゴルフ練習場市場 | 3140億円(1993年) | 1840億円(2001年) | 1290億円(2013年) |
ゴルフ用品市場 | 6260億円(1991年) | 4520億円(2001年) | 3400億円(2013年) |
データは、東洋経済とゴルフ市場行動活性化計画検討会報告書に基づいています。
2001年から現在に至るまで、綺麗に右肩下がりです。
つまり、提案書の具体案は失敗に終わっている!という結論に変わりはないです。
- シニア層のゴルフ離れの抑止
- ミドル層の熱中化
- ジュニア層の新規開拓
上記のいずれか、もしくは全てが失敗に終わっているのでしょう。
さて、これより、僕が今後のゴルフ市場を活性化させるために協会へ提案したいことを書いていきます。
そもそも提案者がダメ!
10年の時を超えて、新たな提案書を出しましたが、そもそも提案者がダメです。上の写真が提案書の代表者でしょうが、みんな年寄りばかり。30代40代の人がいないと、若い人たちの気持ちを組んだ計画ってできる?って思います。
この提案者全員を批判しているのではなく、組織のトップに若い人も入れないような協会だと、若い層の取り込みと言っても説得力が無いんです。
東証では、ようやく外部取締役の義務化が謳われてきましたが、こうした協会もどんどん外部の人間や若い優秀な人を取り込んでいって欲しいです。じゃないと、いつまでたっても中長期計画は、永遠の"長期"計画で終わってしまいます。笑
若い層を取り入れつつ、ゴルフ市場の活発化を目指したいなら業界の司令塔に若い人を取り入れて欲しいです。
高齢者へフォーカス
若い層を取り込んで、、、と言いますが、もはや手遅れな気がしています。
以下は、高齢者(65歳以上)の人数と比率のデータと予測です。
年 | 高齢者数(万人) | 高齢者比率(%) |
---|---|---|
1995 | 1828 | 14.6 |
2000 | 2204 | 17.4 |
2005 | 2576 | 20.2 |
2010 | 2925 | 23.0 |
2015 | 3396 | 26.8 |
2025 | 3657 | 30.3 |
2055 | 3626 | 39.4 |
1995年に比べると、高齢者の比率はグングン上がってきています。10年後には3人に1人が老人です。もう日本の経済のパイは老人の奪い合いになってるのかもしれません。ゴルフ場は日本の土地の上にあるので、海外進出は難しいですし、これから老人をいかに獲得していき、そしていかに日本とともに衰退していくかを考えなければなりませんね。笑
今の日本では、老人の奪い合いが既に始まっています。
- 老人だけゴルフ税の免除
- 映画館の老人割
- 新幹線の老人割
- 航空券の老人割
- 温泉の老人割
- 野球観戦の老人割
- 保険1割負担
若い人こそ割引してほしいのに、お金を持っている老人に対して割引しまくっているこの現状。さすがにヤバくないですか?最後の保険1割負担は皮肉たっぷりの政治家が提供する老人割です。
お金を持っている老人からいかにお金を奪っていくかが重要になります。これって短期的な戦略ではなく、これから老人になっていく団塊の世代へ向けた中長期的な戦略にもなるでしょう。
ジュニア層の開拓
ジュニア層も開拓していけば、それなりのパイになるでしょうが、さすがにジュニア層を取り込める気がしません。石川遼や松山英樹が出てきている現状で、さらにゴルフを魅力的なものにしようと思わせても無理があります。
フィギュアスケートはもっとお金のかかるスポーツですので、浅田真央というスターがいてもなかなか難しいところはありますが、ゴルフだとまだ手の届く範囲です。ただ、サッカーで言えば香川や本田、野球で言えばダルビッシュや大谷もいるなかで、どうやってジュニア層を獲得していけば良いのでしょうか?
ゴルフに関連する協会さん達は、同じスポーツやレジャーにライバルがいることを認識しているのでしょうか?それらとの差別化がなされていない提案書をよく書いたものです。
まとめ(協会への3つの提案)
以上より、僕が協会へ提案したいことは3つ!
- 若い人をトップへ(若い層を取り込みたいなら)
- もはや老人と共に廃れても良いよ(トップも老人ばかりだし。若い人には関係無し)
- どうしても再活性化したいなら、他のライバルも直視すべき
3つの提案とは、実際の具体案ではなく、協会への助言と捉えて下さい。
2つ目の、「老人と共に廃れろ」というのは、ゴルフ業界のソフトランディングです。地方の集落をソフトランディングで消滅させていくように、ゴルフ業界も日本経済にインパクトを与えない程度に廃れてもいいと思うんです。その分、他の競技にもっと力を入れるなどしていければ。
そして、これからゴルフを活発化させていきたいなら、もっとゴルフ業界全体でゴルフのイメージを変えるべきです。そのイメージを変えるためのヒントは、このまとめの後に書きます。長くなりますので、続きを読みたい方はどうぞ。
ジュニア層のハードルは高い
一応まとめましたが、僕も1人のゴルフプレイヤーとして、ゴルフの活性化を願っています。ゴルフ業界の為に考えられることを書きました。
僕も20代ながら、ヤング層としてゴルフに参加しています。レッスンにも参加し、コンペにも出場しています。始めて半年でスコアは90代ですので、そこそこ頑張ってますw 現在は留学中でゴルフとは離れていますが、帰国後は毎日練習したいぐらいです!
さて、そんな僕がコンペに出ると、年齢層は決まって50代以上です。コンペに参加している年齢層は以下の通り。
20代:1人(僕のみ)
30代:なし
40代:1人(医者)
50代:多数(定年)
60代:大多数(定年)
上記は、僕の参加しているコンペの状況ですが、ひとり予約ゴルフという他の人達と一緒にラウンドする制度を使っても、一緒にプレーする人は50代以上のみです。20代、30代なんて滅多にいません。大袈裟かもしれませんが、これがゴルフプレイヤーの現状です。
ゴルフは全てが高い
そもそも、ゴルフを趣味の一つとして選べないのは理由があります。高いからです!
練習するにしても、打ちっぱなしに行く必要がありますし、ラウンドを回るのもお金が掛かります。道具なんて一式揃えるだけで、安く見積もっても10万円以上します。
草野球の場合は、公営の運動場を利用しても低価格で練習や試合もできますし、必要なものはグローブやユニフォームぐらいです。ユニフォームやグローブも高いですが、ゴルフの半額以下で揃います。
僕はレッスンを受けていますので、一ヶ月に2〜3万円は練習代で飛んでいます。誰かに教えてもらわないと、変な癖がつくので最初にコーチに教えてもらえるのは大きいアドバンテージです。
高いイメージの払拭。アメリカと比較して
アメリカのゴルフ練習場に数回行ったことがあります。練習場のオーナーさんに、日本のゴルフ事情を話すと、高すぎる!という答えしか返ってきませんでした。
ラウンドも1回で1万円は飛びます。僕は6千円の安いところに行っていますが、それでも高いと言われました。アメリカだと20ドルでプレーができます。
また、使っているゴルフクラブは何かと聞かれてゴルフブランドの「Taylormade」と答えたら、「なんでそんな高級なものを使ってんだよw」みたいなことを言われました。アメリカでは、ブランドのゴルフクラブを使っている人は少なく、あまり見かけない安そうなブランドのクラブを使っていました。
日本では、ゴルフ雑誌が競って新しいゴルフクラブの性能を紹介していたので、ゴルフ=良いクラブを使うというイメージが強かったのですが、楽しんでプレーするなら安物でも十分なんですよね。そう考えると、ゴルフクラブは2〜3万円で一式揃います。
ただ、ゴルフを実際にプレーしたり練習したりするのには、どうしてもお金が掛かります。ここの料金をアメリカのように下げることもできません。アメリカは広大な土地がありますので、土地の単位当たりの価格が安いですが、密集している日本では土地の値段は高いです。また、アメリカのゴルフ場は日本よりも管理が行き届いていないので、綺麗なフェアウェイではありませんが、それによって管理費も下げることができています。果たして日本でそれができるのでしょうか。
アメリカの練習場に行ったときに驚いたのが、年配層よりも若い人たちの方が多いということです。日本の真逆でした。その若い人たちを見てみると女性から男性までフォーム関係無しに楽しんで打ちっぱなしをしています。
ゴルフのフォームを気にせずとも、とりあえず球を打ちにきた。という感じです。まさに日本のバッティングセンターのようでした。この現状を見ると、アメリカでのゴルフの敷居の低さが見て取れました。
ゴルフのイメージを変えろ!
ゴルフのイメージは誰が醸成しているのでしょうか。やはりメディアが大きいでしょう。もっとポップな感じでゴルフの記事を書けば良いものの、ゴルフ雑誌は広告主を伺った高いゴルフクラブの宣伝ばかり。今後の業界を考えていけば、もっと安いクラブも紹介していくべきです。
また、若い人たちを取り込もうとしている努力も見られません。
若い人にリーチさせるために、ニコニコ動画でもっと面白い企画を作っていくべきです。プロゴルフプレイヤー同士でみんゴルをやってる生放送なんかも面白そうです。ドライバーやアイアンを選ぶ基準を優しく解説していきながら、最初の門を広げてあげるべきです。
ニコニコ動画や生放送より、将棋や相撲が注目されるようになってきました。
ニコニコ超会議での相撲(SUMOU)も楽しみですし、
ニコニコの電脳戦はもはや有名です。
また、羽生棋士も人間将棋に参加するなど、若者を意識したメディア露出が多くなってきています。
このように、プロ選手が自分の時間を削ってメディアに出ていき、注目を集めることで業界を支えていくというのは、とても重要なことです。ゴルフ協会もプロへの宣伝活動をもっとプッシュして欲しいです。
テレビ放送をなんとか
ゴルフ中継って本当に面白くないです。
今では、実際にプレーをしているので興味深く見ることができますが、全くの素人が見れば面白くないです。実況も大声でやるようなことはありませんし。
幸いにもゴルフは、動と静のスポーツですので、ニコニコ動画との親和性は高いです。野球も動と静のスポーツですので、コメント読みながらの観戦は楽しいです。
今のテレビ放送のような形から脱却して、もっと飽きのこない放送をして欲しいです。