先日の記事に関連して、クラウド会計であるマネーフォワードのビジネスについて見てみたいと思います。
つい先日の発表で、マネーフォワードは、クレジットカード決済のCoineyと連携することとなりました。詳しくは、こちらの記事で。
クラウド会計のマネーフォワードがCoineyと連動しクレカ決済の会計処理を自動化、さらに次の展開も - THE BRIDGE
一部引用すると
このクラウド会計、決済の市場は「横連携」を開始したところから本当に面白くなってきた。昨日のAirレジとfreeeの連携に引き続き、今日はマネーフォワードだ。(略)小売などの事業者は、コイニーの提供するモバイル端末Coineyでクレジットカード決済を実施した際、取得する売上データをマネーフォワードが毎日自動で取得、従来必要だった会計ソフトへの手動データ移行や入力が不要になる。
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クラウド会計と決済事業のシナジー
ということで、クラウド会計と決済事業とのシナジーはとても大きいと思います。リアル店舗でもネット店舗でも、決済した明細を自動で会計帳簿に変換でき、それをレポートや決算書などに使う事ができるのは、大きなメリットになります。
こちらの図をみると、クラウド会計、スマート決済、タブレットPOSという「三種のシナジー(筆者案)」構図を見ることができます。
マネーフォワードの提携
マネーフォワードは、ラクレジと繋がっているCoineyと連携する事によって、そのPOSシステムを利用している法人を取り囲むことができます。決済会社も、自分たちの生き残りの為には、利便性を追究したサービスを提供したいので、今回のマネーフォワードとの連携はまさにWin-Winの関係と言えるでしょう。
ちなみにマネーフォワードと連携しているCoineyは、PayPal Japanにいた佐俣奈緒子氏によるベンチャー企業で、2012年創業の会社。ラクレジ(NTT東日本)は株式会社エスキュービズムよりOEM提供を受けています。
freeeの提携
freeeと提携しているエアレジはリクルートの事業であり、Squareは完全に独立したシリコンバレーのベンチャー企業です。
また、クラウドPOS・PayPal Hereとスマートペイ・ユビレジはそれぞれ、SoftBankと楽天の関連企業となっています。
この4つのスマート決済を取り囲む環境は実に面白いですね。今後は、マネーフォワードとfreeeに続く新たなクラウド会計が出てきて、それぞれが競争をしていくことでしょう。
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多すぎる決済システム事業
決済システムというのは10社、そしてそれ以上あります。僕もECをやろうと思い、決済サイトの手数料を色々と問い合わせをしたことがあります(決済手数料が非公開な場合が多いので)。そしたら、来るわ来るわ営業の電話が。
寡占状態のビジネスならば、営業の電話も不要ですが、それだけ競争に晒されているのでしょうね。引っ越しのさ◯い なんて、深夜の2時に営業の電話をかけてきましたからね。電話のお姉さんも、どなられるんだろうなと分かっていながら電話するのだから、かわいそうだと思いました(僕は即切りしましたが。)
というわけで、決済システムの会社は、たくさんありまくるのです。つまり、参入障壁の低いビジネスと言えそうです。
先発者の利得
先発者の利得というものがあります。例えば、新卒、転職市場を先に作ったリクルートは、リクナビを運営しています。マイナビもありますが、現在は2強の状態で、まさに先に始めて規模を獲得したもの勝ちの市場です。
ある程度の規模がある市場があってビジネスとして成り立つので、最初に初めてパイを大きくした企業の勝ちとなります。就職する側も、少ない企業を掲載している就活サイトよりも、たくさんの企業を掲載しているリクナビの方が良いでしょう。掲載する企業も多くの就職希望者がいることを望みますし。
決済市場の分散
このように、先発者の利得というのは、どの市場にもあるのですが、決済市場はそういきませんでした。多くの企業がこぞってこの市場に参入するうちに、分散してしまったのです。
決済市場に後から参入しても成り立つのは、利用する側がソーシャル性を必要としていないからでしょう。皆が使うからTwitterやFacebookを使うのであって、誰も使っていないmixiにSNSとしての価値はもうありません。先発者であったmixiがなぜ消え失せているのかは別で議論しましょう。笑
ただし、決済事業については、利用者と提供者の1対1の関係で終わってしまうので、できれば安い決済会社に頼むようになります。よって、多くの会社が参入してもそれぞれがなんとか生き残っているのでしょう。
ということで、利用する側からしてみれば、安くて良い物を使うので、それ以外に決定的な理由はないです。
ショッピングモールと決済
SoftBank、もしくは楽天が、クラウド会計に関する企業を買収もしくは創立するかと思います。そうした時に、SoftBankがYahoo!ショッピングの出展料等を0円にしたかのように、表向きは0円の超有料サービスを作るかもしれませんよね。
そうなると、「SoftBankクラウド会計×PayPal×クラウドPOS」というSoftBankの三種のシナジー構造が強くなってくるでしょう。
マネーフォワードも厳しくなる?
マネーフォワードも、結局は頭打ちな企業になってしまうかもしれません。日本のクラウド会計の先発者なので、これを維持そして向上させていく事を考えなければならないのですが、やはりソーシャル性に尽きるでしょう。
利用する側からしてみれば、安くて良い物を結局は使うわけで、それ以外に決定的な理由というのはない。逆を言えば、少々高くても、人との繋がりを維持したい、もしくは今までの利用記録を残しておきたいという強い意思を、今の内から利用者に植え付けてやればいいのです。
その為の施策が、今のマネーフォワードにはないので、少々の心理的コストや物理的コストを払ってでも、別のサービスに移動してしまう利用者が潜在的に多くいると思われます。
実際にアメリカの家計簿アプリのmintは、後発にも関わらず、大きな市場をどんどん取っていきました。このように、どこにチャンスがあるのか分かりません!マネーフォワードの今後の発展を期待してます!
では